当院における炎症性腸疾患患者の関節炎の検討

摘要

目的:当院における炎症性腸疾患(inflammatory bowel disease : IBD)患者の合併症のうち,本検討では関節炎に関する現状と問題点を明らかにする。方法: 2021年8?9月に当院を受診したIBD患者すべてに，診察時の問診で関節炎の 発生時期?部位などを聴取しIBDの病型と合わせて検討した。結果:①潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis : UC)103例。関節炎を有する29例(28.2) のうち，1型15例,2型8例,体軸性関節炎型6例であった。関節炎の部位では,膝関節炎が最多であった。②クローン病(Crohn's disease : CD) 38例。関節炎を有する13例 (34.2)のうち,1型8例，2型3例,体軸性関節炎型2例であった。関節炎の部位では膝関節炎が最多であった。考察:従来の報告よりも，本邦のIBD患者における合併症として関節炎が多い可能性があり，長い期間治療を要するIBD診療においては,重大な結果を招く可能性があり，注意を要すると考えられた。