肥料高騰を踏まえた 堆肥の有効利用等について

摘要

近年、様々な要因により原料費や物流費が高 騰し、肥料価格も右肩上がりとなっています。 しかし、果実の安定生産に肥料は必要不可欠で あり、施肥を中止することはできません。そこ で、堆肥の有効利用等により、収量を減らすこ となく、施肥量を削減する考え方について、試 験事例も踏まえてご紹介します。堆肥は、比較的安価な有機資材であり、堆肥 の施用により、土壌粒子が集合体を形成して団 粒化するため、土壌の通気性、透水性、排水性、 保水性などの物理性を改善することができま す。また、堆肥には、窒素、リン酸、カリなどの 肥料成分も含まれており、土づくりの効果だけ でなく、施肥効果も併せ持ちます。年間施肥計 画を立てる際に、堆肥に含まれる肥料成分が見 落とされる場合もありますが、考慮に入れるこ とで、堆肥以外の施肥量を削減することができ ます。果樹で利用される主な堆肥の特徴や窒素成分の目安を表1に示しましたので、参考にし てください（堆肥の原料は家畜ふん尿であるた め、内容成分が一定ではないことにご留意くだ さい)。なお、未熟堆肥は樹体生育に悪影響を及 ぼすため、完熟堆肥を施用しましより。