本書はイエール大学出版局の“Little History”シリーズの一冊として2012年に刊行されたA Little History of Scienceの邦訳版『歴史でわかる科学入門』を改題し,加筆修正したものである.著者のバイナムはユニバーシティ·カレッジ.ロンドン名誉教授,ロンドン大学名誉教授,ロンドン王立内科医協会フェローを歴任し,ロンドン大学のウェルカム医学史研究所長を長きにわたり務めた医学史家である.本書では医学史に偏らず古代の暦の作成から最新のコンピュータ.サイェンスまで多彩なテーマについて論じており,著者の博覧強記ぶりが発揮されている.また,本書執筆の動機はバイナムが孫のためになにかを残しておきたいとの希望から来ているそうである.本書は40章に分けて時系列順に著されており,その内容は各章ごとに完結した内容となっているため,どこからでも読むことができるだろう.以下は読後,印象に残った部分の概要である.
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