関節円板の位置および復位の有無と下顎頭骨髄信号の関係

摘要

顎関節に発生する代表的な疾患である顎関節症は,顎関 節や咀嚼筋の疼痛,関節雑音,開口障害ないし顎運動異常 を主要症候とする慢性疾患群の総括的診断名で，顎関節に発生する疾患の中で最も頻度の高いものである1。顎関節症 の病態は,1.咀嚼筋痛障害（I型），2.顎関節痛障害（Ⅱ型）， 3.復位性関節円板障害（Ⅲ型），4.非復位性関節円板障害 （Ⅲ型），5.変形性顎関節症（Ⅳ型）に分類される。この顎関節症の一つである復位性/非復位性関節円板障害は関節円板が正常な位置から転位することにより，下顎頭の正常な運動を阻害するだけでなく,下顎頭の変形という形態的 変化を誘発する要因にもつながる。一方で,変形性顎関 節症のような形態変化を生じた下顎頭には浮腫性変化にょる骨髄信号の変化が生じることが報告されている7。骨髄信 号の評価にはMRIが用いられる。MRIは組織分解能が高＜,下顎頭に生じた浮腫性変化を評価することが可能である。