7 免疫グロブリン療法と腎臓疾患:概要,スクリーニング,モニタリング,管理のための推奨

摘要

目的:経静脈的免疫グロブリン療法(IG preparations for intravenous ； IVIG)あるいは皮下注用免疫グロブリン製剤(subcutaneous IG ； SCIG)は種々の免疫不全,自己免疫疾患,炎症性疾患の治療に用いられる。特に高用量IVIG (1,000-2,400mg/kg)はさまざまな自己免疫疾患あるいは炎症性疾患の治療としても使われる。IVIG療法の単コースに反応する自己炎症性疾患はわずかであり,多くの患者は長期で定期的な投与が必要であるため,このことが全体のリスクを増加させてしまう。IGで治療されている患者や医師でさえも,このような治療が慢性腎臓病(chronic kidney disease : CKD)や腎機能障害につながるということをあまりょく知らない。特に高用量のIVIGを使用しているときは,この認識不足が非常に危険な状態につながる。したがって,IG使用前にすベてのCKD患者と腎機能障害に対してスクリーニングが必須である。本論文はIGを投与する際の腎機能低下の潜在的なリスクに対する注意喚起である。目的としては,IG投与している患者のCKDと腎機能障害の認識を促すこと,リスク予防と緩和を促すために,スクリーニング,モ二タリング,管理のための推奨を提供することである。方法:腎機能低下患者へのIG投与の臨床におけるモニタリングの推奨-定期的臨床検査値評価:毎月またはIVIG投与時-体重変化:浮腫?尿量を含む体液変動のモニタリング-併用薬:利尿薬やRAS（レニン-アンギオテンシン系）阻害薬，NSAIDs併用の評価-投与時モニタリング:点滴後72時間までの有害事象 モニタリング,腎障害発生時のIG投与マネジメント-点滴速度の減少ー投与後の水分負荷-IVIG濃度や皮下への変更ほか結論:ここで示したように,特に高用量のIG投与によって 腎機能に潜在的な危険性をもたらすことがわかった。どの種類の薬を使うか,その薬の投与量,投与経路,注入速度が易感染性の腎機能患者に影響を与えるのかもしれない。したがって,CKDあるいは腎機能障害のあるす ベての患者に対するIVIGやSCIG使用前のスクリーニングおよびモニタリングや管理と並行して重要である。すベての潜在的な副作用と同様に,最適なアプローチがそれらを予防するために必要である。