子宮脱整復手術

摘要

子宵脱は牛の臨床現場における急患の代名詞で，体 力勝負のキツイ診療というイメー ジがある。確かに， 脱出した子宮をただやみくもに押し戻すのであれば. 獣医師にはそれなりの体格と体力が必要で，単なる重 労働でしかない。しかし.子宮や卵巣，血管.膀胱. 腸管など子宮脱に伴い通常とは異なっている解剖学的 位置関係を正確に把握し，発症牛のポジショニング(牛 の体位を処置しやすい体勢にすること）や子宮脱整復 棒などの整復ツールを使用することで，体格や体力に 関係なく省力的に整復が可能となる。子宮脱は子宮が陥入,反転し，陰門外に脱出した状 態を言い，分娩直後の子宮頸管が十分に拡張している 間(24時間以内.多くは6時間以内）に発生する。 発生率は分娩頭数の0.2-0.3と言われているが. 時間経過とともに病態は悪化し，治癒率も低下してい く。そのため，牛の臨床現場において緊急を要する疾 患の1つとなっている。