音源軌跡の近似による音場合成法の計算量削減

摘要

音場合成法は，複数のスピーカの放射する音波の重ね合わせにより所望の音場を物理的に合成する技術である．スぺクトル除算法はモードマッチングに基づく音場合成法の一つであり，このスぺクトル除算法により任意の軌跡を移動する音像を提示するためには，音源の移動に合わせて積分計算を行う必要がある．本稿では，音源の移動軌跡を連続する等速直線運動で近似することによりこの積分計算を除去した，計算量を削減法を提案する．計算機シミュレーションにより，従来法と比較して50から100分の1程度にまで計算時間が削減されることを確認した．