北海道安平町の地盤陥没跡地における表面波探査

摘要

地表に突如として穴があく地盤陥没現象は国内外問わず様々な場所で発生している．特に地盤陥没の芽となる地下空洞が地中深いところで生じている場合，条件によっては空洞が大きく成長し大規模な陥没に至る危険性がある．地表近傍に顕著な空洞が存在する場合には，地中レーダー探査技術によって高い精度で空洞の検出が可能であるが，現行の路面下空洞探査に使用されるパルス波レーダーは，地表から約2mを超える深さの空洞探査には対応が困難とされている．したがって地中レーダー探査の適用範囲を超える深部の空洞に対しては貫入試験やボーリング調査等で確認される場合が多く，非破壊での深部空洞の探査は困難な状況である．本研究は地表から深部までのS波速度構造を推定する手法である表面波探査に着目し，深部空洞の探査可能性を明らかにすることを目的として進めている．本稿では，2009年4月に北海道安平町内のゴルフ場で発生した地盤陥没の跡地とその周辺において実施した表面波探査の結果を整理し，現行の表面波探査による深部空洞の探査可能性について考察を行った．