分子内および分子間水素結合を有するポリジアセチレンの色調変化と 熱安定性

摘要

ポリジアセチレン（PDA)の加熱による色調変化挙動を明らかにするため，アルキル鎖長ゃメチレンスぺーサー長が異なり，かつ分子間あるいは分子内で水素結合を形成可能なカルボン酸ゃアミド結合を含むPDAの紫外可視ならびに赤外吸収スぺクトルの温度依存性を検討した。PDA分子間で力ルボン酸2量体を介して形成される分子間水素結合はPDAを安定化する効果を示し，メチレンスべーサーの炭素数に応じて異なる熱応答性を示した。ー方，共役主鎖方向に沿ったー次元水素結合が形成するアミド結合を側鎖に含むPDAは，熱安定性に乏しいことがわかった。カルボン酸およびアミド結合の両方を含むPDAは，分子内ならびに分子間水素結合による熱安定化の作用を最も顕著に発現し，130°C以下の温度域で青相から赤相への可逆的な色調変化が可能であることを見いだした。