マイクログリッドシステムの中核モジュール無償提供について: 地産地消型の再生可能エネルギー導入を促進し、サステイナブル社会の実現へ

摘要

近年、地球環境の変動は、深刻さを増しており、不可逆的な気候の遷移を意味するClimate Departureの議論すらされている。さらに、2019年末からの新型コロナウイルスの蔓延は、パンデミックとなり多くの国で長期間のロックダウンが行われるなど経済活動は大幅に制限された。しかし、これほどの経済活動の制限をもってしても気候変動の抑制への効果は極めて限定的であり、単なる量的な抑制ではなく、質的な産業構造、特にエネルギー需給構造の変革が必須であるとの認識が広まっている。気候変動への影響の大きい二酸化炭素の排出量抑制の議論が世界的に加速しており、日本においても2020年10月に菅義偉首相が日本政府として初めて2050年までに二酸化炭素ネット排出量ゼロ（カーボンニュートラル）にするとの政策目標を表明した。2050年カーボンニュートラルの実現に向けては、電源部門における再生可能エネルギーを中心とした脱炭素電源の大量導入、非電力部門における電化が主要な取り組みとなる。その中でも、再生可能エネルギーの大量導入について本稿で取り上げる。