妊娠中の溶血性貧血を契機に診断されたB細胞リンパ腫

摘要

症例は33歳女性。妊娠17週に,動悸を主訴に受診したところ,WBC: 2,200/μl，Hb: 6.0 g/dl, Pit: 46,000/μl と汎血球減少を認め，LD: 874 U/l, T-Bil: 3.33 mg/dl, D-Bil: 0.44 mg/dl,直接 Coombs 陽性，間接Coombs陰性，ハプトグロビン10mg/dZ以下と自己免疫性溶血性貧血を示唆する所見であった。また,触知可能な脾腫を認め,sIL2-R高値(1,610U/ml)であった。Splenic marginal zone lymphomaに伴う溶血性貧血を疑ったが,妊娠中で脾生検などの侵襲性の高い検査は困難であったため,PSL1mg/kg/dayで治療を開始したところ,溶血,脾腫の改善を認めた。PSLは10mgまで漸減し,妊娠40週に2,802 gの女児 を経膛分娩にて無事に出産した。出産後,~18F-FDG-PET/CT (PET-СТ)を施行したところ,脾臓にびまん 性にFDGの異常集積(SUVmax=4.37)を認め,また，授乳中のため両側乳房にびまん性の強い集積を認めた(写真)。さらにCTガイド下脾生検でк/λ偏位を示す小型リンパ球を認め，組織型は確定できなかったが，低悪度のВ細胞リンパ腫と診断した。リツキシマブを週1回，計6回投与したところ，РЕТ-СТでCMRとなり，溶血性貧血の改善も認め,現在PSLは4mgまで減量している。