持続可能な未利用熱利用(帯水層蓄熱システム)による工場空調システムの省エネ革新

摘要

再生可能エネルギーのーつとして自然の温度差エネルギーを利用する地下水熱利用がある。地下水は帯水層と呼ばれる透水性の良い地層から汲み上げられる。地中熱利用に比べその熱容量は大きく熱源としての利用ポテンシャルが高く、温度が安定している。更に足元に眠るこの帯水層を巨大な蓄熱槽に見立て季節を跨いで冷房時に温蓄熱、暖房時に冷蓄熱を地下に貯めることでより多くの温度差エネルギーとして利用することができる。このような背景からオランダでは2,000年以降急速に帯水層蓄熱システム(以降ATES)が普及しており、現在3,000件を超えるプラントが稼働している。近年、中国でも帯水層蓄熱が認知され、実用システムとして普及し始めている。日本では研究開発目的の仮設設備において実績はあるものの一方でオランダ?中国の様な大規模なシステム実用化例は乏しく、そのシステム構築·運用·メンテナンスの技術は確立していない。そのため、本稿では、大規模なATESの国内社会実装第一弾として当社の工場空調へ導入した設備の概要とその運用結果を紹介する。