マイコプラズマの免疫学的特徴

摘要

マイコプラズマは自身のゲノムサイズを極力小さく しながらも，巧みな生存戦略で進化してきた細菌であ る1Mycoplasma bovis{M. 乳房炎は分房間を移行して発症することが知られており，個体間で感染 が拡大するのみならず，個体内でも感染が広がる。乳 汁中に動員されてくる体細胞数は他の乳房炎原因菌と 同程度であるが，その菌数は他の乳房炎原因菌と比較 して多い. による肺炎では特徴的な乾酪壊 死を呈し，関節炎の重症例では骨融解を呈することが 知られている。炎症性サイトカインの1種であるイン 夕 一ロイキン（IL)-1Betaがマトリックスメ夕ロプロテ ア一ゼ3 (MMP3)の産生を促進させ，このMMP3によ る骨融解を促進するメカニズムが考えられている このようにM bovisによる感染は特徴的な病態を形 成することが知られているが，詳細なメカニズムは十 分に明らかにされていない。本稿では，近年明らかに されてきた3つのトピックスについて紹介する。