乳用牛の管理2分娩時の子牛死は大きな損失だ

摘要

乳用牛の「死産」の定義は明確になっておらず，獣 医師が力ルテに記す病名も様々である。乳用牛群検定 (乳検)への死産の報告も農業者の自己申告による。分娩から個体識別センタ一FAXを飛ばすまでに，子牛 が息をしていなければ死産と報告する。胎子の段階で すでに死んでいるもの，分娩時の牽弓Iによつて死んだも の，出生後に十分な看護を受けられず死に至ったものな ど， 一口に死産と言っても，その原因は様々だ。北海 道の過去3年間における死産報告は6 台で推移して いるが',そのうち9割は分娩時にはまだ生きていると いう。ちなみに，ヒトの死産は10万人に1人(0.001) と言われ.牛と比べて極端に少ないことがうかがえる。一方，酪農家が耳標を装着してから0力月齢のうちに 死んだ子牛の割合は，北海道が3 にも達する（牛個体 識別全国データ）。それ以降，成牛になるまで若牛が死 ぬことは少なく ，子牛の死亡は新生子牛に集中している。これらを考えると，分娩前後の6に0力月齢での 3を加えると，分娩事故率は9にも達する。つま り，子牛は生後0力月齢以内に1割ほど死んでいるの である。