ピーナッツの殻を吸着剤として使用し,皮革排水から陰イオン性染料を除去する方法

摘要

染科のような有機物による水の汚染は環境と人間の健康に大きな悪影響を及ぼす。一方，農業から生じる固形廃棄物，例えばピーナッツの殻などの有効利用法の確立も重要課題である。そこで，本報ではピーナッツの殻を吸着剤として使用し，皮革排水から陰イオン性染料(茶色)を除去する方法を検討した。まず，ピーナッツの殻を粉砕し，旆にかけ,フーリエ変換赤外分光法(FTIR)により成分を確認した後，陰イオン性染料を吸着するときの最適pH,最適処理時間,最大吸着量を求めた。その結果，ピーナツッ殻を7.753 mg/g使用したときに陰イオン性染料の吸着率は最大(93)に達した。pHが低いほど吸着率が高まる傾向が見られたが，最適pHは2.5であった。最適処理時間は90分間だったが，10分後には吸着率が92.3に達したのでこれで十分と判断した。陰イオン性染料の吸着量は皮革排水50 mLに対し0.3 gとなった。本法は皮革排水中の陰イオン性染料を効率的に除去する方法として期待できる。