マルチ栽培がゥンシユウミカン果実のP-クリブ卜キサンチンの蓄積 および関連遺伝子の発現に及ぼす影響

摘要

マルチ栽培でゥンシユウミカン果肉のP-クリプトキサン チン含量が増大するメ力二ズムを明らかにするため，力口 テノィド代謝経路に関連する酵素遺伝子の発現を調査し た.調査に用いた'青島温州'の果実は，静岡県静岡市清水区の2か所の園地（A園地，B園地）で2017年8月から 収穫までマルチ処理し，（3-クリプトキサンチン含量は，11 月下旬から12月上旬の収穫期において無処理より果肉で 30%,フラベドで50%増大していた.これらの果実の果 肉の力nテノィド代謝経路に関連する酵素遺伝子の発現量を調査した結果，発現量にみられたマルチ処理による変化 はそれぞれの園地で異なっていた.A園地では力口テノィ ド生合成経路の力口テン生成に関わるが高まり， キサントフィル生成に関わるCitHYbとCrfZfiT5の発現が低 かった.B園地では力口テン生成とキサントフィル生成に 関わる酵素遺伝子(CitPSY, CitZDS, CitLCYbl, CitLCYb2, CitHYb, CitZEP)およびアブシジン酸への代謝に関わる酵 素遺伝子、CitNCED2, CitNCED3)の明らかな上昇がみられ，中でもカロテン生成に関わる遣伝子の発現量の上昇が大きかった.以上のことから，ゥンシユウミカンの果実 は，マルチ栽培によってカロテノイド代謝経路の酵素遣伝 子の発現量が変動することが示され，特に，カロテン生成 の高まりによって果肉のクリプトキサンチン含量が増 大している可能性が示唆された.