10 2050年の学術情報処理

摘要

私が初めて国際会議に論文を投稿した1990 年代は，今思えば随分のんびりした時代であった．インターネットはすでに普及していたが，論文投稿は郵送だった．査読者の人数分だけ論文を印刷し，封筒に入れ，所定の住所に送っていた．郵送先が日本国内ならばともかく，海外ともなると自分の論文が到着するまでにそれなりに日数がかかる．少しでも日数を短縮するため，EMS（国際スピード郵便）の使い方もすぐに覚えた．査読結果の通知も郵送ならば，最終稿の送付も郵送．今考えると本当に気の長い話である．それから間もなく，インターネット上で論文を投稿できるようになった．はじめてネットで論文投稿したときは，あまりの手軽さに，感動というよりも，本当にちゃんと投稿できたのか？と逆に心配になった．