化審法で新しく導入された分解度試験の条件検討

摘要

環境中に排出された化学物質が、分解し難く長期に残留して、生物体内に蓄積し、強い毒性を有する場合、食物連鎖を通じてヒトゃ生態系に重篤な影響を与えることが懸念される。このような物質の環境汚染を防止するため、日本では1973年に「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律（化審法)」が制定され、新規の化学物質を製造·輸入する前に、微生物による分解性、魚体内中への蓄積性、ヒトや動植物への毒性を段階的に評価している（Fig. 1)。この評価において、最初に行われる分解度試験で「良分解性」と判定されると、環境汚染の懸念が低いことから後続試験は不要となり、評価が終了する。この分解度試験はOECDガイドライン301C(以下、301C)に従い実施するが、この試験法では分解を受けにくい物質が他の試験法と比べて多く、また、分解を受けやすい物質であっても結果の再現性が低いことや、実環境中の分解性との乖離が指摘されていた。そこで、2018年度からはOECDガイドライン 301F(以下、301F)に従った試験法も、化審法に導入されることになつた。本稿では、実環境中における化学物質の分解性をより精緻かつ簡便に評価できる手法の確立を目指し、301Fの試験条件について種々検討したので報告する。