GNSS位置推定における複数受信機を用いた大規模ダイバーシチ信号処理に関する検討

摘要

都市部·山間部などのマルチパス環境における測位では，精度·信頼性において課題が存在する．建造物や樹木などが衛星と受信機間の障害物となり，衛星からの直接波を遮断することによる可視衛星数の減少，および障害物による衛星からの直接波が反射，回折といったマルチパスの影響により測位精度が劣化する．このような課題に対し，近年GNSS受信機の低価格化が進んでおり，今後は複数の受信機を一つのデバイスに搭載できると考えられることから，複数受信機を用いた大規模ダイバーシチ信号処理により単独測位における位置推定精度の改善を図る．本検討では4っ受信機を利用することで，入手可能な衛星観測次元数を増加させて，マルチパス環境における可視衛星数が減少する課題に対処することを考える．また，障害物による電波の反射，回折の影響で測位精度が劣化する課題に対し，衛星観測データの取捨選択方法について検討する．測位計算で用いられる最小二乗推定解の分散は観測行列の状態によって雑音が強調される．そこで，最小二乗推定解の分散に影響する尺度の一つである行列の条件数をマスク値として設定することで，最小二乗推定解の分散を低減し，測位精度の改善を図る．また，既存のマスクとの併用により測位精度が改善する手法を検討する．