リニア中央新幹線の環境アセスメント問題と訴訟

摘要

総延長286 kmのリニア中央新幹線(以下，リニア，東京～名古屋間)は，南アルプスを長大なトンネルで堀り抜け，またその86%がトンネルで占められるという，途方もない環境破壊を伴うものであるにもかかわらず，その環境アセスメント(以下，アセス)は史上稀に見る，最悪とも言えるものであった.私自身，新山梨環状道路北部区間の建設反対運動の中で，該地にオオタカの生息が確認されたこともあって，僅か15 kmの区間に7年半のアセスの調査が行われた経験を持っていたことから，リニアのアセスがたった3年間の調査期間しかないことを知った時，何と無謀なアセスであることかと驚嘆したことを記憶している.