エランコWebinar2022寒冷ストレス編繁殖経営におけるこれからの季節の生産性向上のヒント

摘要

寒さ対策を考えるうえで,まず行うべきことは現状 の把握である。現状を把握する指標の1つとして,温 度と湿度を利用した温湿度指数(THI)があり,本稿で はこの指標を使い,解説を行っていく。宮崎県の肉牛17万頭以上の3年間の初回人工授精 (AI)成績1‘を見ると,冬季にはTHIと受胎率がともに 低下していた。このことから，THIと肉牛の受胎率に は相関関係があることが分かる。受胎率はTHIが75 を超えると最大になり,60を下回ると有意に受胎率が 低下している。THIが低ければ,初回AI日数，実空 胎日数,AI回数の成績が悪化するという結果になった (図1)。また,過剰排卵処理による採胚や胚移植にお いてもAIと同じように，TH!の低下に伴い成績が低 下している(図2)。AI後7日目に胚を回収する採胚で も,寒さの影響を受けているという結果である。また， 胚移植(ET)受胎率もTHIの低下に伴い成績が悪化し た(図2)。このように,AIだけではなく採胚，ETい ずれも冬季に成績が悪化していることから,寒冷スト レスは母牛の繁殖性に影響があると言える。