ダチョウの鳥インフルエンザに対する 感受性と現状

摘要

2022年4月に東北地方や北海道で高病原性 鳥インフルエンザ（HPAI)の発生が確認され，力 ラスやキツネからもHPAIウイルス（HPAIV)が 検出された。3月で発生が終息していた従来と は状況が異なっているようだ。さらに，我が国 で初となるエミューへのHPAIV感染が2農場 で認められ，500羽以上が殺処分された。エ ミュ一はダチョウと同じ走鳥類で，飛ぶことの できない大型の鳥である。ダチョウは，2011 年から家畜伝染病予防法のHPAI,低病原性鳥 インフルエンザ(LPAI)(どちらも法定伝染病）の 対象家畜となったが，H5やH7亜型以外の鳥 インフルエンザ(AI,届出伝染病）の対象家畜で はない。このエミュ一のHPAIでは，エミュ一 を「ダチョウ」として扱い，殺処分対象となっ た。ダチョウは野外での放し飼いも多ぐ野生 動物の侵入を防ぐことが重要である（図1)。南 アフリカでは，これまでに何度もダチョウ農場 でHPAI, LPAI, AIが発生している。今回は， 2016年に南アフリカのグループが報告したダチョウのAIに対する感受性と現状を紹介する。