コールドチェーンの歴史と持続可能とするための対策

摘要

本稿では，コールドチェーンの成り立ちなど，米国や日本の歴史を解説した上で，省エネルギーの可能性についてハードとソフトの両面から様々な対策を論述していただく。冷蔵は，加工処理も添加物も一切を必要とせず，ただ食品の温度を低下させるだけで可食期間を延長させる技術である。加工も添加物も用いないため，今ある状態をそのまま保ち得るという他では決して得られない利点を持つ。さらに温度を氷点下にまで下げてやれば，数か月レベルの長期保存も可能で，-80℃程度まで温度を下げれば半永久的に保存することすら可能である。しかしこのことは逆に，保存期間中常に低温を保たなければならないという原理的な欠点となる。低温を保つためには冷凍機を運転し続けなくてはならず，そのためにエネルギーを供給し続けなくてはならない。このことはまた，他の保存法とは違って輸送することが難しいという欠点に繋がる。店舗から自宅まで，くらいの短時間ならばそれほど問題は無いが，工場から店舗まで，輸出国から輸入国まで，などという長距離の輸送では，保冷処理だけではすぐに温度が上がってしまい，重大な品質劣化や腐敗が起こって食べられなくなってしまう。