PRP+bFGF注入療法と論文「口囲のしわに対するPRP+bFGF治療」に対するコメント

摘要

近年,多血小板血漿療法（以下,PRP療法）は，最も身近で安価で簡便な再生医療の一法として,慢性潰瘍の治療をはじめしわやたるみ，さらには育毛，スポーツ医療など多種の医療領域で応用がなされている。なかでも美容医療においてしわやたるみに対するPRP療法が多く施術されているのが実情である。しかし,一般にPRP療法と呼ばれる治療法は,均一なPRPで治療されているわけではない。PRPは採取する全血の血小板数に差があり,遠心分離して得た濃縮血小板液は血小板数の差も多いPRPであり,さらに活性化の有無や，PRPにbFGFや吸引脂肪などを付加した療法も行われ,実に多様である°。今回のPRPにbFGFを付加したしわへの注入療法の症例報告は,本邦において身近にある皮膚潰瘍治療薬剤で細胞成長因子であるbFGF製剤（トラフエルミン;フイブラス卜?スプレー250/500 :科研製薬株式会社）をPRPに混和した治療法で,PRP療法のーつの方法とも言えるが，以下のいくつかの論点を含んでいる。