意思決定能力の判定医療?介護を要する独居高齢者の事例から

摘要

意思決定能力と医療同意能力とは異なる.インフォー厶ド?コンセント（IC）には「不同意」の可能性がある.高齢者診療においてアドバンス?ケア?プランニング（ACP）の活用は有用である.85歳女性.要介護2の認定がある.現病歴は高血圧症と糖尿病があり,インスリン自己注射が適応となっている.3年前に脳梗塞を発症し現在右半身麻痺があるが,室内は歩行器で自立歩行が可能である.持ち家で独居であり,経済収入は亡夫の遺族年金で ある.主治医は,訪問診療を行う近隣の内科医が担当している.最近になって降圧薬の服用やインスリン自己注射をときどき忘れることがあり，血圧と血 糖値のコントロールが困難な状態にある.近くに長男夫婦が住んでおり,通院付き添いなど のサポートは受けられる.そこで，担当主治医は今後の方針を立てるため，訪問時に本人と話し合うことにした.