変動性再エネの大量導入におけるエネルギー貯蔵システムの役割と省エネ

摘要

2050年カーボンニュートラルの実現に向け，省エネ·省CO_2に対する取り組みはますます求められていく。効率的なエネルギーの利用には蓄熱·蓄電が欠かせない。本稿では，エネルギー貯蔵システムの役割のほか，省エネ，省CO_2における蓄熱·蓄電の役割や展望を解説いただく。2020年から21年にかけて，温室効果ガスの削減にかかる日本政府の政策目標に大きな変化があった。2020年10月に2050年までに正味排出ゼロとするカーボンニュートラル宣言があり，同12月にはグリーン成長戦略として期待される14の分野が発表され，グリーンイノベーション基金が創設された。2021年4月にはパリ協定の2030年国別削減目標として2013年比－26%としてきたこれまでの値に，20%上積みした－46%.の極めて高い目標が示された。それに合わせ，第6次となるエネルギー基本計画の改訂原案も示された。エネルギー供給で特に重要な2030年の電源構成では，原子力は据え置きの20～22%，再生可能エネルギーは36～38%まで引き上げられ，特に太陽光や洋上風力など変動性再エネ（以下VREと略記）の大幅な上積みを目標に据えている。