樹脂構造体の疲労強度評価に関する研究

摘要

従来，自動車の車体の構成部材のほとんどは，金属で作られていた．しかし，金属に代わり重量やコスト面で優れたプラスチックの使用が増加している．燃料タンクにおいても，快適な車内スペースの確保，長距離移動への対応，低燃費化などに対応するため，これらの要求実現の一環として，燃料タンクの樹脂化が急速に進んでいる．実際，欧州ではすでに燃料タンクの90以上が樹脂化されており3日本でも採用され，搭載が進んできている．樹脂製燃料タンクは金属製燃料タンクに比べ，軽量性，生産コスト，材料コスト，安全性，耐久性，形状自由度，行程合理化等の面で優れている．樹脂の中でも，高密度ポリエチレン（HDPE）は加工が容易で，安価であり機械的強度，電気特性，耐水性，耐薬品性や剛性に優れていることから，自動車用樹脂製燃料タンクの主材料にはHDPEが用いられる．また，これらの特性に加え，耐クリープ性，耐ESC性に優れる架橋ポリエチレン（XLPE）も燃料タンクに使用されている．