アグレッシブNK細胞白血病に対する同種造血幹細胞移植

摘要

アグレッシブNK細胞白血病(aggressive NK-cell leukemia, ANKL)は成熟NK細胞の白血病である。急激に進行し予後は50%生存期間2?3ヶ月と非常に短く,造血器腫瘍の中で最も予後不良な疾患の一つである。一般に化学療法の奏効が得られにくく,同種造血幹細胞移植が現在唯一の根治可能な治療手段であるが,稀少疾患のため知見は限定的であった。そこで我々は本邦のANKL59例に対する同種造血幹細胞移植成績の解析を行った。既報と同様に移植時に化学療法の感受性が得られている例は有意に予後良好であったが,初回寛解導入不応例でも移植後完全寛解となった場合は上記と同等に良好な予後が得られることが示された。両者はいずれも約3~4割に長期生存を認め,治癒の可能性が示唆された。また幹細胞源は臍帯血が有意に予後良好であり，治療奏効時の速やかな移植が重要であると考えられた。新規治療薬や移植医療の発展に伴い,ANKLに関する更なる知見の蓄積が望まれる。