建設業の業務効率化に貢献するAI配筋検査システム

摘要

国内建設投資（年間63兆円）は堅調に推移するも，少子高齢化や労働時間の規制強化等で労働者不足が発生し，今後社会インフラの建設·補修，維持が困難になるとの危惧から，国土交通省ではICT（Information and Communication Technology）技術の導入による業務効率化（i-Construction）を推進している。三菱電機では，これまで様々な産業分野で培ってきた画像解析技術とAI技術を核に，建設施工現場の生産性向上に貢献するAI配筋検査システムを開発した。このシステムは，多数の現場実証を繰り返した結果，鉄筋検出率96.4%，鉄筋径判別率は94.2%という結果を得て，国土交通省が作成した“デジタルデータを活用した鉄筋出来形計測の試行要領（案）”記載の機能要件を満たすことも確認できた。このシステムによって，従来複数人で実施していた配筋検査の準備·計測·検査に1人で対応可能になることが確認できた。また，今までは計測値を手入力で検査帳票に転記する必要があったが，このシステムでは計測結果をデータとして記録し，検査報告書に自動的に反映するため，検査報告書作成時間も1/4に短縮できることが分かった。