脳性麻痺に合併した麻痺性股関節脱臼に対する筋解離術併用大腿骨内反減捻骨切り術の治療成績とその限界

摘要

目的：脳性麻痺児の股関節脱臼の外科治療として，筋解離術，大腿骨骨切術，骨盤骨切術などの治療法が選択される力治療選択の明確なコンセンサスはない.今回，麻痺性股関節脱臼に対して当院で筋解離術併用大腿骨内反減捻骨切り術を行った症例の術後成績を解析し，治療の基準を検討した.対象と方法：2006年12月から2014年5月の間で手術を行い，5年以上経過観察が できた31例37股を対象とした.成績良好例，成績不良例それぞれで術前MP,手術時年齢，術直 後MP,術直後頸体角を評価した.結果：術直後MP,術直後類体角は成績良好群と成績不良群で 有意差を認め，術直後MP10%未満，術後頸体角120°未満で良好な成績がえられた.筋解離術のみ を行つた健側股関節は92%が成績良好であった.結論：術直後MP10%未満の全症例で良好な成績 がえられた.術直後MP10%未満を達成できない場合は，骨盤骨切り術の追加を考慮すべきである.