手術適応であつた 先天性肝外門脈体循環シヤン卜の ホルスタイン種子牛1症例

摘要

離乳前のホルスタイン種子牛が配合飼料を食さず，中枢神経徴候を呈した。血液検査で高アンモニ ア血症を認め，先天性門脈体循環シャント（cPSS)による肝性脳症を疑った。超音波検査にて肝外に 門脈と後大静脈のシャント血管を確認し，先天性肝外門脈体循環シャント（cEHPSS)の確定診断に 至った。さらに門脈の肝内への流入を確認し，シャント血管閉鎖術の適応症例と判断した。右賺部肋 骨辺縁の切開によりシャント血管へのアプローチが可能だったが，術中死亡した。牛でのcEHPSSの 手術報告はないが，根治の可能性を示唆する症例であり，超音波検査はcEHPSSの確定診断および手 術適応の判断に有用であると推察された。