関節痛,関節炎をきたす鑑別疾患は多い.また臨床推論を進めるうえで関節や関節近傍 の構造物(骨,腱,滑液包,筋)などの身体診察は必須であるが,それらを体系的に学ぶ機 会はまだ少ないと思われる.近代医学の父と呼ばれるWilliam Oslerは’'When an arthritis patient walks in the front door, I feel like leaving by the back door."(関節炎患者か刖 のドアから入ってきたら,私は後ろのドアから逃げたくなる)という言葉を残しており, 関節炎診療の難しさが垣間見える.次項以降で筋?骨格系の身体所見や検査の解釈,関節 リウマチなど関節炎をきたす疾患については述べられるため,本稿では主に臨床推論,つ まり関節の痛みを訴えた患者を診た際の臨床医の頭のなかを視覚化していくことを目指し ていく.
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