「脱炭素社会」におけるエネルギー需給構造についての一考察

摘要

昨年10月，菅総理が所信表明演説において2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする「カーボンニュートラル」を目指す旨を宣言され，我が国としてこの目標に不退転の決意で挑戦することが示されました。また，昨年12月には，経済と環境の好循環を形成するための「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」（以下「グリーン戦略」という。）が産業政策として打ち出されました。このように「カーボンニュートラル」に対する機運は，著しく高まっておりますが，一方においてこの目標の達成は，極めて難しいとされています。そこで本稿では，私の携わる「省エネ推進」の守備範囲をかなり越えることとなりますが，私なりに「カーボンニュートラル」が実現した「脱炭素社会」におけるエネルギーの需給構造はどうなるのか，その実現はなぜ難しいのか，実現のためにはどのような課題をどのように克服していく必要があるのか等を整理してみることとしました。