偏食を背景としたビタミンB12,葉酸欠乏による 巨赤芽球性貧血に偽性TTPを伴った1例

摘要

33歳男性。20XX年5月上旬より食思不振と倦怠感を自覚 し,体動困難で当院へ救急搬送された。血液検査にて大球性 貧血と,ビタミンB12,葉酸,亜鉛の欠乏,血小板の低下と 溶血所見を認めた。後日ホモシスティンの上昇を認め,巨赤 芽球性貧血による偽性TTPと診断した。抗内因子抗体や抗 胃壁細胞抗体は陰性で,消化管内視鏡検査では十二指腸に粘 膜萎縮所見を認め,吸収不良症候群を疑い生検を施行した が,病理組織学的に特異的な所見は認めなかった。巨赤性貧血は,偏食によるビタミンB12,葉酸欠乏が原因と考え た。ビタミンB12.葉酸および亜鉛の補充を開始し,溶血所 見や血球減少の改善を認めた。巨赤芽球性貧血に偽性TTP を伴う症例はしばしば報告されており,患者の背景を踏まえ てTTPと鑑別を行い,適切な治療を早期に開始する必要が ある。補充療法を開始し速やかに改善を認めた症例を経験し たため,文献的考察を踏まえ報告する。芽球