ラッ卜の直立姿勢制御の構成原理

摘要

神経における姿勢制御の構成則に迫るため.ラッ卜を後肢2足の不安定状態で直立させ，安定化の ための動作を調べた。下ォリーブ核に障害を与え たラットの2足直立動作は，無傷ラッ卜に比べて 重心動作の周波数に特徴的な変化が見られた。こ の原因を調べるために.安定化制御の数理モデル を構築し，データと比較を行ったところ，内部モ デルの障害による予測機能の低下に起因すると考 えられる非線形制御機能の低下が見られた。ここ で見られた姿勢の予測制御機能に迫るため，合図 によって外乱が予測可能な状況でラッ卜に傾斜外 乱を与えた。試行を繰り返すことで，外乱に対す るラッ卜の重心変動は小さくなつた。学習後の ラッ卜の動作は，合図から傾斜の期間だけ将来の 状態を予測し，制御に用いる数理モデルによって よく再現された。以上から，定常直立時に予測制 御が働き，またこの予測制御機能がモデル予測制 御の形で構成されている可能性が考えられる。