北海道の小麦栽培における雑草防除の現状と課題

摘要

2021年秋以来の輸入小麦の価格高 騰もあり，国産小麦に対する需要拡 大が期待されている。小麦の国内生 産は2022年産で約99万トンである が，北海道はその6割の61万トンを 生産する国内最大の産地である。北海 道内13万へクタールの小麦栽培は， 北海道畑作の基幹作物であるが，その 約9割は収量性の高い「きたほなみ」 「ゆめちから」といった秋まき小麦品 種が作付けされている。「春よ恋」な どの春まき小麦は秋まき小麦と比べて 収量が低い，収穫時の穂発芽被害に遭 いやすい等の理由で1割程度の作付け にとどまっている。しかし，製パン用 として需要のある春まき小麦において は近年，生育を前進化し，多収化，穂 発芽被害の回避を図る目的で，根雪前 の11月には種を行う「初冬まき栽培」 が広がりつつあり，春まき小麦の収量， 品質の安定化に寄与している。