酸化グラフェン上への脂質二重膜形成と膜内ドメイン局在化

摘要

酸化グラフェン（graphene oxide, GO）は，グラフェン骨格に水酸基，エポキシ基，カルボキシ基などの酸素官能族が付加した構造を持つ単原子層材料である（Fig.1）。 GO内にはグラフェン様の構造を保った疎水性領域と，酸素官能基が付加した親水性領域がナノ メートルスケールで混在していることから，両親媒性の二次元材料とみなすことができる。酸素官能基が共有結合することでグラフェンの電気的特性は失われるものの，親水的な官能基が付加することで水系溶媒に分散できるようになり，生体分子との親和性も向上する。そのため，近年では生体分子のセンシングや細胞·微生物の担体など，グラフェンとは異なるGOならではの用途について多くの研究がされている。代表的な例が，GOの蛍光消光作用を利用した生体分子の検出であり，DNAハイブリダイゼーションや抗原-抗体反応，タンパク質へのアプタマー吸着などに応用されている。