編集後記

摘要

日々，人びとがつくったものが風景となり，心象に残ること があります. そこにある何かが今に繋がっているからなのか もしれません. それはすこしずつ変わっていく風景でも，震 災で突然失われ，新たにつくられた風景の中にも同じように あると思いました. 平田晃久さんは地方都市の風景から， 内藤廣さんは陸前高田の露災後の街から建築を生み出して います. 松田平田設計による明治大学和泉ラーニングセン ターでは，堀口捨己氏の建築を引き継ぎつつ，今の学生が 集まるための場所に組み替えています. 宮城島崇人さんは 災害で廃棄されてしまう建築を引き継ぐ場所を既存の建物 を活用してつくられ，全体像よりも，完璧でなくてもひとつ ずつの解決を積み重ねることでつくられる未来を示されてい ます. たとえ断絶しているように見える中にも，歴史と未来 が連続していることが建築を介してつくれることを今月号の 編集を通して思いました. 原広司氏による磯崎新氏追悼は， 氏の活動もその大きなうねりだったことを示していただいた ように思います.