箔支持ガイドを用いた曲がり穴放電加工の形状精度改善

摘要

つり下げ電極を用いた放電加工法は，電極球が加工反力によって適度に揺れ動くことで安定した加工状態が得られ，曲がり穴などの特殊形状加工法として高いポテンシャルを有している．曲がり穴加工の基本的な手順を図1に示す．汎用の形彫り放電加工機につり下げ電極を取り付け，主軸を下降させて直線穴加工を行う（a）．次に，電極球が所定の深さへ到達した際，（b）のように工作物を所定の角度（θw）に傾ける．銅箔のリ一ド部が十分に柔軟であるために電極球は重力方向へ進み，加工が進行する．これらの制御を必要な角度と回数設定することによって，所望の曲がり穴を得ることができる．筆者らはこれまで，亜鉛合金，合金工具鋼，アルミニウム合金，チタン合金などの工作物に対するつり下げ電極の放電加工特性を明らかにするとともに，工作物の傾斜制御と組み合わせることで曲がり穴が加工できることを示してきた．