2種類の腫瘍細胞集団が混在するT細胞腫瘍の解析

摘要

T細胞腫瘍は細胞起源の違いにより前駆T細胞腫瘍と成熟T細胞腫瘍に大別される.後者は原則として細胞表面にсαβ型またはγδ型T細胞受容体(T-cellreceptor: TCR)を発現し、CD4あるいはCD8のいずれかが陽性(single positive)のことが多い。一方、CD4とCD8の両者が陽性(double positive)あるいは陰性(double negative: DN)の症例や、汎T細胞抗原であるCD2、CD3、CD5、CD7等の発現減弱や欠失を認める症例も知られている。今回、我々は細胞形態および表現型が異なる2種類の腫瘍細胞集団が混在した成熟T細胞腫瘍症例において、免疫磁性ビーズを用いた細胞分取法により2種類の細胞集団の関係性を検討したので報告する。