エッセイ No.298 魔法使いの弟子

摘要

(前回からの続き）以後、堂本が演出家としていつ、どのように経験を積み始めたのか詳細までは調べきれませんでした。ウイキぺデイアが唯一の手がかりで、「1959年に寺山修司らと演劇集団"鳥"を結成」とありますので、初演出はこの頃かも知れません。1961年頃から演劇雑誌「新劇」に劇評を書き始めていて、三島の舞台についてはその多くを堂本が担当しています。三島関連の舞台を初めて演出したのは1962年11月、ゲーテ作「プロゼルピーナ」の三島訳版で「三島訳が出た時、即座に能形式で演じようと思い立った。その文体が、完全に能のそれであり、~後略~」この頃から、堂本は三島と作品を通じての会話を成立させているようです。1963年4月には、「堂本正樹·演出リサイタル」と銘打たれた公演で、三島由紀夫の戯曲「三原色」、石川潭月作「切支丹道場寺」、加藤郁乎の詩句を基にした「降霊館死学」が上演されています。それぞれ須麿啓（すまけい）、観世栄夫、土方巽等が出演した豪華な舞台です。