RAF蛋白は細胞内シグナル伝達経路の一つのRAS-RAF-MEK-ERK(MAPK)経路を構成するキナーゼである。EGFRなどの受容体型チロシンキナーゼにより,活性化されたRAS蛋白からのシグナル伝達によりRAF蛋白が活性化され,下流のMEK-ERKを活性化することで細胞の分化?増殖に関与する。BRAF変異により,恒常的なリン酸化が生じることで悪性化や腫瘍増殖を引き起こす。近年は,V600E以外の変異(non-V600E変異)に関する報告が複数あり,本邦で進行中の医師主導治験BIG BANG 試験(UMIN000031857)など,non-V600E変異を対象とした治療開発も行われているが,大腸癌におけるBRAF変異はV600E変異が圧倒的に多く,本稿ではV600E変異に関してのみ記載する。
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