肝S7亜区域切除術

摘要

肝S7領域は肋骨と横隔膜に囲まれた右横隔膜窩の 最深部に位置しており，肝S7亜区域切除術では，そ の最深部で右肝静脈を露出しながら肝離断が進められ る.開腹して行う場合，良好な術野を確保することが 難しく.安全に肝離断を進めるためにはかなり大きな 開腹創を必要とし，しばしば肋間開胸が追加される. そのため，一般的に肝S7亜区域切除術は難度の高い 手術手技の一つとして認識されており，腹腔鏡下に行 う際にはさらに難度やリスクが高くなると考えられて いる.しかしながら，右葉の脱転を完了すると.そ の後は開腹時よりもはるかに良好な術野が得られるた め，腹腔鏡下手術の特性を生かして適切に手技を標準 化することにより，難度やリスクを開腹手術よりもむ しろ低くしたうえで，より精度の高い肝切除術を施行することができる.