小型月面探査ローバーの走行性能に及ぼす車輪形状の影響

摘要

本研究では，月面環境下においても走行可能な小型車輪型月面探査ローバーの登坂性能向上を目的として，5種類の車輪形状を用い，との接地面積を大きくすることで月面のレゴリス上の軟弱不整地でも低消費電力で走行を可能とする小型月面探査ローバーの車輪の開発を行った．円柱車輪，三角柱車輪，四角柱車輪，五角柱車輪,八角柱車輪の5種類の異なる接地面積の車輪を用い，軟弱地盤における小型月面探査ローバーの車輪形状による走行性能の違いを明らかにした．以下に得られた知見を示す．1．三角柱車輪，四角柱車輪，五角柱車輪，八角柱車輪を用いることで，30度までの傾斜を登坂することが可能である．2．本研究で用いた車輪の中で三角柱車輪が最も短い時間で登坂することができるため，軟弱地盤の走行に適している．3．車輪が軟弱地盤を走行する際は，車輪と地盤の接触部分に角度がつくことで砂を搔くことができる量が増加することと，地盤との設置面積を増やすことで，広範囲に締め固め効果を引き起こすことができることで，より多くの推進力を得ることができる．