尿道の腫瘍

摘要

尿道に発生する腫瘍の大部分は膀胱や前立腺に発生した尿 路上皮癌の尿道内伸展であり，厳密には「尿道腫瘍」「前立腺腫 瘍」と「膀胱腫瘍」を区別する必要はない。ただし，膀胱に限局 した尿路上皮癌と尿道や前立腺への浸潤を伴う尿路上皮癌と では予後が異なることが知られている（図1)n。図2に北海 道大学動物医療センター（HUVTH)にて放射線治療を実施し た症例群の生存曲線を示すが,病変の部位により予後が異な ることがわかる。膀胱に限局している場合と比較して排尿困 難などの臨床徴候が問題になる場合が多いのに加えて，リン パ節や遠隔部位(肺,骨など)への転移傾向が強いことがその 理由と思われ,外科療法の適用の是非や術式選択の判断に当 たってはこの生物学的挙動も勘案した慎重な症例選択が求め られる。