外傷性凝固障害と外傷性DIC?歴史的経緯と考え方?

摘要

外傷性凝固障害と播種性血管内凝固症候群(DIC)の関係をめぐり国際血栓止血学会と欧米外傷外科医の 間で十数年の議論が行われたが,合意形成会議が開催された.外傷性凝固障害は,外傷自体が引き起こ すー次性凝固障害(DIC)と希釈,低体温等による二次性凝固障害を含む概念である.受傷局所の生理的 止血?創傷治癒過程と病的自然免疫反応として全身性炎症反応を伴い発症するDICの区別が重要であり, ヒストンを主体とするDAMPSがDIC発症に深く関与する.外傷性DICは受傷後数時間の線溶亢進型 DICを経て線溶抑制型DICへ移行する.両病型ともに基礎病態制御が肝要であり，前者では補充療法と 抗線溶薬が,後者の治療は補充療法と抗凝固薬が使用される.