液状化被害を受けた宅地の災害復旧工事: 札幌市の市街地における浸透固化処理工法の適用事例

摘要

2018年9月6日に発生した北海道胆振東部地震により，札幌市清田区里塚地区は大規模な地盤災害に見舞われた。図-1に地盤災害の発生メカニズムを示す1)。同地区では,地震により液状化した盛土層が下流方向に流動化し，インフラ施設や宅地において甚大な被害が発生した。対策工事では，大規模な流動化の再発防止を目的とし地区全体を地盤改良した後，地下水のせき上げ対策として暗渠排水工を設置する方針が策定された。図-2に対策工のイメージを示す。地盤改良工は2種類の工法を適材適所で使い分け，道路部において深層混合処理工法，宅地部において薬液注入工法を適用した。本文は，対策工事のうち，五洋?伊藤JVが請け負った「清田区里塚地区市街地復旧工事」(詳細設計付工事)における宅地部の薬液注入工法の適用事例について報告するものである。