2値離散時間モデルを基にした電気回路網に対応する量子力学系の考察

摘要

LCR成分を含む電気回路網はエネルギー損失を伴い，散逸のある波動系として記述される．一方，ミクロなエネルギー保存系としての量子系は分散のある波動系として記述される．電気回路網を時空間離散化したセルラーアレイモデルと，それに対応する量子系を取り上げ，両者に共通のパラメータを与え，セルラーアレイモデル上を移動する仮想荷電粒子の確率分布と量子系の粒子の確率分布を比較した．両モデルは共に波動系のモデルであるが，上記分布にはエネルギー損失と保存に起因した差が生じる．しかし，2つの分布の分散は共通パラメータに対して同様の傾向を示す．