B型肝炎,C型肝炎は肝炎ウイルス(hepatitis B virus:HBV,hepatitis C virus:HCV)による感染症である.慢性感染者では炎症は緩徐に進行し,高率に肝硬変や肝細胞癌(hepatocellular carcinoma:HCC)を発症する.HCCはわが国の死亡者数が第5位の癌である.発癌の有無にかかわらず,いったん線維化が進行し肝機能が破綻すると,時に致命的ともなる肝疾患関連合併症を発症する.肝炎ウイルスを制御?駆除する目的は,こうした肝発癌および肝疾患関連死を抑止し患者のQOLを改善することにある.全世界で推定3億5,400万人がHBVまたはHCVに感染しているといわれ,WHOは2030年までにこれらの肝炎ウイルスの撲滅に向けての目標を設定?修正し,国単位で自国に即した目標を達成するよう勧告している.本稿ではB型肝炎,C型肝炎について,治療の変遷および今後の展望について概説する.
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