高齢者における医療面接

摘要

多くの医師にとって人生の先輩である高齢者に敬意を払って医療面接に臨む.暦年齢のみで“高齢者”と括ることは慎むべきだが,高齢者の伝達能力や理解度は若壮年者に比べて限界があることをふまえて「情報収集」「患者への説明?教育（情報提供）」を行う.「情報収集」「患者への説明?教育（情報提供）」は,医師側のコミュニケーション能カ?医療面接スキルと同時に,患者側のヘルスリテラシーによっても左右される. 高齢者の医療面接の実際は，認知機能および視力?聴力障害の程度,基礎疾患,診 療の場などとともに，付き添いがいるか否かを意識する.90歳男性.高血圧で長年,本院外来に通院中である.軽度の難聴はあるもののー人で受診し,いつも体調は良いと話していた.ある受診日,近くに住む娘が一緒に 来院し,娘は「薬を飲み忘れたり,降圧薬と下剤を間違えたりしており心配である」と言う. 前回の受診時,「自分で調整したし、」とし、う患者の希望があり頓用で下剤を処方していたが, 聴取していた臨床情報には限界があり,医師からの説明を患者は理解できていなかったよう である.